SNS採用は、企業が直面する採用の課題を解決するための効果的な手段の一つです。近年求職者の転職活動が多様化しており、従来の採用方法だけでは、広範な求職者にリーチすることが難しくなってきています。その解決策として、多くの企業がX(旧:Twitter)やInstagramなどのSNSを採用に利用し始めました。これらのプラットフォームは、瞬時に情報を拡散したり、画像や動画を用いて企業の魅力を際立たせることができます。本記事では、SNS採用の基本から、その効果的な活用法までを細かく解説していきます。SNS採用とはSNS採用は、X(旧:Twitter)やInstagram等のSNSを活用して事業所の魅力を発信し、応募者を集める手法で、SNSの普及により、幅広い業界でSNS採用を始める企業が増えています。元々SNS利用者の中心は若い層であったため、若い世代をターゲットに運用されるケースが多かったですが、現在は幅広い年代でSNSが利用されるようになったため、様々な世代の採用においても利用されることが多くなっています。特に求職者の行動として、就職活動や転職活動を行う際に従来の求人サイトに加えて、企業の公式ウェブサイトや就職口コミサイト、SNSなどが利用されるようになり、特にZ世代(一般的に25歳以下)においては、SNSを通じた情報収集が一般的です。SNS普及の背景スマートフォンとインターネットの普及スマートフォンの急速な普及が、SNSの利用を爆発的に増加させる要因となりました。多くの人が手のひらサイズのデバイスからアクセス可能なSNSは、通勤時間や休憩時間にも気軽に利用できるため、利用時間の増大につながっています。総務省のデータによれば、特に10代や20代のSNS利用時間は全世代平均の約2倍以上に及ぶと報告されています。リアルタイムコミュニケーションの利便性SNSはリアルタイムでの情報発信と共有を可能にするため、迅速なコミュニケーション手段として機能します。文字情報だけでなく、写真や動画も簡単に共有できるため、個々の生活や意見を広範囲にわたって発信することが可能です。多様なプラットフォームSNSには、目的や形式に応じて様々なプラットフォームがあります。たとえば、以下のようなSNSがあります。LINE:幅広い年齢層に利用され、メッセージのやり取りや情報発信に適しています。X(旧:Twitter):リアルタイム情報の拡散が得意で、短いメッセージを迅速に多くの人に届けることができます。Instagram:写真や動画といったビジュアルコンテンツを中心に、ブランドイメージや個人、企業の魅力を向上させるのに効果的です。TikTok:短い動画で情報を効果的に伝え、特に若者に人気です。Facebook:詳細な情報発信が可能で、グループやイベントを通じてコミュニティの形成に役立ちます。医療・介護業界におけるSNS活用の重要性転職活動の変化一昔前、医療・介護業界の求職者が新しい職場を探す手段として主流だったのは、ハローワークや新聞広告などオフラインの活動がメインでした。しかし、近年ではインターネットの普及もあり、オンラインでの活動が主流になり、Indeedやジョブメドレーなどの求人サイトの台頭や人材紹介会社の増加により、就職・転職活動が大幅に変わってきました。そのため、従来通りの手法では採用できないという事例が各地で散見されています。つまり、ハローワークで求人を出せば問題ないという時代は終わりを迎えてしまいました。そのため、求職者の行動に合わせた採用活動をする必要が出てきており、その一つがSNS採用となります。若い方々を中心に、InstagramやFacebook、TwitterなどのSNSを利用することで、企業に関する情報をより簡単に得ることができるようになったため、事業所側も求人サイトだけでなく、SNSも活用して事業所の情報を発信する必要が出てきています。SNS採用のメリット・デメリットメリット拡散力が高い=認知を広げられるSNSは情報の「拡散力」が高いツールのひとつです。SNSにもよりますが、投稿した内容の反響が良ければ、1日で数千人、数万人と拡大され、事業所の認知度が高まる可能性があります。活用にあたり費用がかからないSNSの多くは無料でアカウントを作成し、投稿を行うことができます。有料広告を利用することもありますが、基本的な活用に関しては費用が発生しないため、予算が限られている事業所にとっても取り組みやすいです。魅力を伝えられるSNSでは事業所の理念や働き方、社員の姿などの特徴をタイムリーに発信することができます。また、写真や動画なども合わせることでより詳細な事業所の魅力を伝えられます。つまり、採用ターゲットに事業所の魅力を訴求をすることができ、また、求職者目線でも事業所理解を深めることができるため、応募率向上だけでなく、マッチ度向上にも役立ちます。デメリット効果が出るまで時間がかかるSNS採用の効果を実感するためには、継続的な投稿と運用が不可欠です。単発の投稿では求職者の関心を引くことが難しく、定期的な情報発信が求められます。SNSによってアルゴリズムは違いますが、継続的に運用し、フォロワーや投稿のエンゲージメントを高めないと、期待した効果がでないことが多いです。手間がかかる定期的な投稿内容の企画、写真や動画の撮影、投稿文の作成など、運用には時間と手間がかかります。そのため、医療・介護の忙しい現場ではこの手間を負担になってしまう可能性があります。ノウハウがないと難しい効果的なSNS採用には採用の知見だけでなく、各SNSにおけるアルゴリズムへの理解や効果的な投稿の作成などノウハウが求められる場面があります。どのようなタイミングでどんな内容を投稿すれば良いか、ターゲットとなる求職者に対するリーチの仕方など、ただ投稿をするだけでは、効果を出ないこともあります。SNS採用はどういう事業所におすすめか事業所の認知を広げたいSNSは情報拡散力が非常に高く、適切な運用をすれば多くの求職者に対して事業所の認知度を向上させることができます。地域に根ざした事業所でも、広範囲での認知拡大が可能です。また、これまでの採用施策でリーチできなかった層へのアプローチも可能になります。求人やスカウトはすでに行っているので他の施策も実施したい既に従来の求人媒体やスカウトサービスを利用しており、さらに採用力を強化したい事業所には、SNS採用が新たな選択肢となります。他の施策と組み合わせることで、複数のチャネルを通じて多様な求職者にアプローチできるため、採用活動の幅を広げることができます。採用予算が限られているSNSは無料で運用することができるため、採用予算が限られている事業所では有効な採用手段となり得ます。人材紹介会社を利用した場合1名採用するために100万円前後かかりますが、SNSからの採用であれば採用コストはかなり抑えられます。ただ運用にかかるリソースはかかることに注意が必要です。SNS採用の始め方ガイドSNSを活用した採用活動は、ポイントや注意点がいくつか存在するので、以下具体的なSNS採用のステップ等を詳しく紹介します。ステップ① 採用ターゲットを決めるまず、SNSを通じてどのような人材を採用したいのかを明確にし、ターゲット層がSNSを使用しているかどうかを確認するといいです。ターゲットがSNSを利用しない場合は、別の採用手段を再検討する必要がでてきます。例えば50代以降の方が採用ターゲットの場合はSNSよりも、他の施策にリソースを割り振った方が効果が出る可能性が高いなど、ターゲットに合わせて実行するか検討する必要があります。ターゲット例:・年齢:20代~30代・経験:看護師経験3年・仕事環境:現在病院で勤めているものの、職場の人間関係の悪さから転職を検討している・価値観:患者様とゆっくり関われる職場にいきたい。在宅に興味があるが、自分にできるか不安・家庭環境:付き合っているパートナーとゆくゆく結婚を考えている・希望:人間関係が良く、ライフステージの変化があっても働き続けられそうな職場を探しているステップ② ターゲットが良く使う媒体を整理し、どの媒体を活用するか決めるターゲット層が主に使用しているSNSを特定し、その中から社内のリソースに合った媒体を選びます。選択肢には、X(旧Twitter)、Instagram、Facebook、TikTok、YouTubeなどがあります。もしターゲットがどのような媒体を使っているか分からない場合は、採用ターゲットと属性が近そうなスタッフや周囲の知人に、どのようなSNSを使っているか聞いてみると参考になると思います。ステップ③ 運用体制を決めるSNS運用のための体制を決めます。継続した投稿が求められるため、誰がどの範囲まで担当するのかを明確にしておくと、アカウントの運用が楽になります。特に少数の組織である場合、現場の看護師や介護士、管理者などが運用することもあるでしょう。そうなったときに、通常業務で忙しい合間を縫う必要があるため、事前に役割分担をしておくことをおすすめします。スタッフにSNS運用を任せる場合は、少額の手当を出すケースも多いです。また作成する担当と素材を集める(写真を撮るなど)担当を分けるのか、一緒にするのかなども決めておくと良いでしょう。ステップ④ 発信する内容・頻度を決め、必要な素材を集めるターゲットが興味を持つ内容や事業所の魅力を効果的に伝えるための内容を決定します。投稿内容が決まれば、必要な画像や動画などの素材を集め、その際には投稿作成を簡単にするために、統一されたテンプレートを作成するのもおすすめです。ーーー投稿内容を考えるのに便利なおすすめフレームワーク:採用の4Pーーー事業所の魅力を4つに分けてカテゴライズし、網羅的に事業所の魅力を伝えます。1. Philosophy(フィロソフィー・企業理念) 事業所の理念や大切にしている想い、ミッション・ビジョン・バリューがこれにあたります。2. Profession(プロフェッション・業務、事業) 業務内容や、その業務のやりがい、また事業所として展開しているサービスなどです。例えば、訪問看護と居宅介護支援を行っている場合は、それぞれの仕事についてや、なぜその事業を行っているか発信すると良いでしょう。3. People(ピープル・働く人、組織)どのような(年代、資格、経験、性格など)人が、どのような想いでその事業所で働いているのかを指します。事業所で働くスタッフ紹介などがこれにあたります。4. Privilege(プリビレッジ・待遇)給与や福利厚生などの待遇面がプリビレッジになります。病院の看護師であれば、基本給や夜勤手当はもちろん、託児所などが付いていればそういったものを紹介するのも良いでしょう。ステップ⑤ アカウント作成次に、選んだSNS媒体でアカウントを作成します。またアカウント作成をするだけでなく、プロフィール画像や自己紹介欄を充実させます。Xであれば固定ツイートやプロフィールに求人情報を掲載したり、Instagramであればハイライトの設計なども行います。ステップ⑥ 応募への導線を設計する応募を獲得するための導線を設計します。アカウントに採用サイトを接続したり、自己紹介欄や投稿に応募方法を記載するなど、求職者が応募したいと思った時にすぐに応募できるようにします。もしLINE公式アカウントに応募を統一している場合は、LINE公式アカウントの友達追加の導線を設けると良いでしょう。例:弊社顧客(株式会社リハビリコンパス様)のInstagramアカウントステップ⑦ 実際に投稿を作成し、投稿する準備が整ったら、実際に投稿を作成し、各媒体で投稿を開始します。投稿前には内容を確認し、間違いがないかチェックします。また、投稿後に見せたい形で反映されているかも確認した方が良いでしょう。特にInstagramやtiktok、YouTubeなどで投稿するクリエイティブは、投稿後に想像していた表示がされていないことがあるため、投稿後のチェックを行うことをおすすめします。また以下に投稿を作成するにあたっておすすめのツールを紹介します。文章作成: ChatGPT投稿のアイディア出しや投稿文章の作成が可能です。複数のアイディアや投稿案を一気に作成することもできるので時短にも繋がります。画像作成: Canva直感的なドラッグ&ドロップ操作でデザイン可能で無料で様々な素材を使用することができます。多数のテンプレートがあるので、デザインが苦手な方も見やすい投稿を作ることができます。SNS投稿だけでなく、チラシやパンフレットの作成にも便利です。動画作成: CapCutスマホで撮影と編集が可能なので操作が簡単で、初心者でも使いやすいツールです。短編動画の編集に特化し、SNS動画制作に最適です。ステップ⑧ アカウントを育てるSNSで影響力を高めるには、フォロワーと投稿数を増やすことが重要になってきます。特に投稿する際には、ユーザーが求める内容を理解し、魅力のある投稿を心がけるとフォロワー増加に繋げることができます。また、DMやリプライなどを通じて交流を図り、幅広い層と関係性を深めると、リポストやいいねなどが増えエンゲージメント率が向上するため、より拡散力が上がっていきます。注意点炎上しないために発信してはいけない内容を事前に決めておく。投稿する際には投稿内容が誰かを貶めたり、批判するような内容になっていないかなどに注意する必要があります。一度炎上をしてしまうと、長くオンライン上に情報が残り、長期的にブランディングを損なう可能性があるため、社内で事前にガイドラインなどを用意しておくか、リスク回避のノウハウがまとまった記事を共有しておくと良いでしょう。無暗に投稿しない。目的から外れた投稿をしてしまうと、見て欲しい投稿が埋もれてしまうリスクがあるため、採用目的であれば求職者目線で魅力的な情報か判断して、投稿していくのがおすすめです。投稿が続けられるような体制を整える。SNS採用はどうしても時間がかかってしまうため、中長期的な運用が不可欠となります。そのため投稿が続けられる体制の整備や適切な役割分担を図り、投稿が途中で途切れないようにすることが重要です。アルゴリズムの変化に対応する。SNSのアルゴリズムの変化は定期的に起きるので、公式サイトやSNSに詳しい企業の最新情報など確認すると良いでしょう。アルゴリズムの変化によっては、これまで伸びていた投稿が伸びなくなるといったことも発生しうるので、定期的なチェックがおすすめです。まずはどのSNSから始めるのがおすすめ?まずおすすめしたいプラットフォームはX(旧Twitter)とInstagramです。それぞれの利点について説明します。また、TikTokやYouTubeも活用できると効果的なので、これらの利点についても詳しくみていきます。 X(旧Twitter):手軽に始められるテキスト投稿Xは、テキストのみでの投稿が可能であり、主に以下の点が大きなメリットです。特に画像制作や動画制作が苦手な方やリソースが割きにくい方にも始めやすいSNSとなっております。手軽さテキストのみで投稿が可能なので、作成に時間がかかりません。高い拡散性ユーザーのリポスト(リツイート)機能を活用することで、情報が一気に広まる可能性が高いです。アカウントを育てることで、幅広い層に認知を広げることができます。リアルタイム性タイムラインと呼ばれる画面には、フォローしている人のツイートやリツイートが時系列順にリアルタイムで次々と表示されます。自分がツイートした内容も、このタイムラインに流れ込み、情報をリアルタイムで共有することが可能です。Instagram:視覚的に魅力をアピールInstagramは画像とテキストの組み合わせで投稿が可能です。また、医療・介護業界で働く看護師や介護士、リハ職の方々にアンケートをとったところ、Instagramの利用率が高かったため、最初に始めるSNSとしてはおすすめです。ビジュアルの強み 事業所の雰囲気や魅力を視覚的に訴求することができるため、テキストでは伝わりきらない魅力を訴求することができます。リール機能を用いた拡散性リール投稿は15秒から90秒の動画を投稿することができる機能です。特徴的なのは、ハッシュタグなどを使って、投稿の検索や発見をしてもらいやすい利点があります。フォローしているしていないに関係なく表示されるので事業所の認知拡大に役立ちます。余裕があれば挑戦したいTikTokとYouTube動画コンテンツの作成に時間をかけることができる場合、TikTokやYouTubeは強力なツールとなります。ただし、動画編集には一定のスキルと時間が必要なため、社内リソースに余裕があれば取り組んでみても良いと思います。TikTok:高い拡散性 高い拡散性短時間の動画で広範囲にリーチ可能です。アカウントの影響力が無くても、興味を惹く投稿ができれば、高い拡散を期待できます。 若い世代への訴求 Tiktokは20代~30代がメインで利用しているため、若い方の採用を進めたい企業にはおすすめできるSNSとなります。YouTube:深く会社を知ってもらえる 深い情報提供長時間の動画で、企業の詳細情報やインタビューを提供できます。 幅広い年齢層へのリーチYouTubeは年代問わず幅広い層が活用しているため、特定の年齢層やペルソナに限らず幅広くリーチしたいときにおすすめです。まとめSNS採用は、企業が自社の魅力を伝え、適切な人材を効果的に集めるための新しい手段のひとつです。SNSは広範囲に素早く情報を届けることができ、広告費用を抑えながら多くの求職者にアプローチできます。特に予算の限られた中小企業にとって、SNS採用を上手く回すことができればコストパフォーマンスの高い手段となります。また、SNSを通じて企業文化や職場の雰囲気をリアルタイムで発信することで、求職者に対する企業の魅力を強くアピールできます。SNSの普及は、技術の進歩とユーザーのニーズの変化により今後も続くと考えられます。特に10代、20代が労働市場の中心となるに従い、SNSは求人・採用活動においても欠かせないツールとなる可能性があります。弊社ではInstagram運用を月額3.6万円~ご提供しております。SNS採用を始めたいがリソースが無い、ノウハウが無くて何をしていいか分からない、そんなお悩みがあればぜひご相談ください。