今回は、応募数を増やすために、求職者に応募意欲を持ってもらう方法について、解説します。採用活動において応募数が少ないという課題がある場合、「情報の発信=量」が足りないと考えがちですが、「情報の発信内容=質」の部分についても考えることが必要です。発信内容の質が上がると、応募意欲を持ってもらいやすくなり、閲覧数あたりの応募率を上げることができ、結果的に応募数の増加に繋がります。そこで今回は、応募数を増やすために、求職者に応募意欲を持ってもらう方法について、重要性や具体的な例について解説していきます。1. 応募数とは違う!応募率とは?応募率とは、求人や採用サイトを見た求職者がどれだけ応募にいたったかを指す割合です。つまり、「閲覧数×応募率=応募数」となります。応募数を増やすためには、閲覧数も大切ですが、応募率も同時にとても重要です。また、応募率に関しても、「応募意欲を持ってもらえるか」と「応募のしやすさ」という2つに分解ができます。「応募意欲を持ってもらえるか」は、求人やホームページを見たときに、応募したいと思ってもらえるかです。それには、求人の内容や事業所の魅力が適切に伝わっているのかが関係します。「応募のしやすさ」というのは、応募したいと思ったときに、円滑に応募ができるかどうかです。それには、応募の仕方が分かりやすいかや、応募フォームやサイトのシステムなどが関係します。事業所の魅力を伝わるようにすることで、看護師や介護士に限らず、求職者に応募意欲を持ってもらえるようになり、結果的に応募率向上、さらには応募数の増加に繋がります。今回の記事では、この「どのようなことをすれば、応募意欲を持ってもらえるのか」を解説していきます。2. 応募意欲を持ってもらうためには、事業所の魅力が伝わるようにすることが重要採用数を増やすためには、まず応募をしてもらう必要があります。しかし、応募をしてもらうということは、求人情報だけを記載し、連絡先を準備しておけばいいというものではありません。応募を促すためには、応募しやすい仕組みを整えるのと同時に、「応募してみよう」という応募意欲を持ってもらう必要があります。応募意欲を持ってもらうためには、「この事業所、良さそう」「この事業所で働いてみたい」という感情を抱いてもらう必要があります。そして、「この事業所で働いてみたい」という感情を抱いてもらうためには、事務的な情報以外にも、様々な情報を掲載し、事業所の魅力が伝わるようにすることが重要になってきます。逆に、事務的に給与や労働時間などを記載しているだけでは、消去法的に選ばれない限り、この事業所で働いてみたいと思われることは少ないです。また、事業所の魅力が伝わるようにしておくことで、顧客やパートナーからの信頼度を高めることにもつながります。そのようなことから、事業所の魅力が伝わるようにすることは、採用だけでなく、ビジネス活動全体において非常に重要なことなのです。3. 情報発信で気を付けるポイント情報発信をするうえで気を付けたいポイントがあります。それは、定性的な情報と定量的な情報どちらも重要であるということです。定性・定量的な情報と書いた理由は、「職場」という複雑性の高い情報を、定性・定量のどちらかだけで伝えきるのは難しいためです。定性的な情報は、文章やイラスト、写真などで伝えることができますが、これは人や見る環境(デバイスや媒体)によって、伝わり方や解釈が変わってしまう可能性も持ち合わせています。また、定性的な情報には数値的な証拠がないため、それだけだと実感を持ってもらえないことが多々あります。もちろん、自社が採用したいと考えている理想的な人物像に合致する求職者が、どのようにこの情報を受け取るのかというのを事前に想定しながら、情報を編集・掲載する必要がありますが、人がどのように感じるかは完全にコントロールできません。そのため、人によって受け取り方が変わりにくい定量的な情報も、合わせて記載しておく必要があります。ただ、すべてを定量的に伝えることは難しいため、定性・定量の両方の情報を掲載することで、お互いの弱みを補い合う情報群となり、様々な人が見ても総合的に同じような印象を持ってもらうことが可能になります。「人間関係が良く、明るい職場」という魅力を伝えたい場合、定性的な情報では職場の写真や従業員の声を掲載し、定量的な情報として離職率や人間関係に関する職場アンケートの結果などを掲載することで、総合的に伝えたい魅力が伝わるようになります。4. 事業所の魅力が伝わるようにするには?先ほどもお伝えしましたが、事業所の魅力を伝えるためには、積極的な発信だけでなく、発信内容の質も重要です。WELLNOVAでは、求職中の看護師や介護士が「この事業所で働いてみたい」と思う感情は、大きく2種類の情報を求職者が見ることによって生まれると考えています。①労働条件に関する情報②職場環境に関する情報また、さらに分解すると、掲載しておいた方が良い情報は多岐に渡ります。上記のような情報が求人や採用ページのコンテンツ、SNSで適切に伝われば、求職者に応募意欲を持ってもらいやすくなります。ただ、1点忘れてはいけないのが、情報を受け取る求職者の立場になって必要な情報を伝える、ということです。つまり、採用ターゲットが疑問に感じそう、興味を持ちそうな情報を適切に伝える必要があるという前提を忘れずに情報発信を行いましょう。以下では各項目について、順番に説明していきます。5. 労働条件に関する情報ここでは労働条件に関する情報について、各項目を解説いたします。労働条件に関する情報とは、求人票に最低限記載がある条件のことで、今回は給与、業務内容、勤務時間、休日、福利厚生、応募要件、選考プロセス、アクセスについてご紹介いたします。労働条件に関する情報は、競合との差別化が図りにくく、また条件面が弱い事業所の場合、優位性の確保が難しい情報でもあります。ですが、求職者が必要とする情報を適切に提供することで、応募意欲を持ってもらえるようになります。5-1. 給与体系給与体系を掲載することで、求職者は自分のスキルや経験に見合った収入が得られるかどうかの判断しやすくなります。これは掲載している事業所がほとんどだと思うのですが、稀に能力次第で変動などといった形で掲載がない事業所があります。想定でも年収○○○万円~と掲載することで求職者との給与面での認識のギャップを防ぐことができます。また、手当面も記載すると良いでしょう。基本給のみだとかなり少なく認識されるため、職種ごとに定められてる細かい手当面を記載することも大切です。加えて、モデル給与も掲載すると良いでしょう。入職後3年で年収○○○万円、入職後7年で○○○万円など現在働いている方の給与をもとに、モデル給与を記載することで、より具体的にイメージが湧き魅力に感じてもらいやすい状況を作れます。働く上で給与はとても大切で、どの求職者も給与額を確認します。人によっては給与をメインで転職活動をしている方もいます。その中で、他よりも具体的に記載されている求人と、最低月給しか記載のない求人どちらに応募が集まるでしょうか?ほとんどの場合は具体的に記載がある方に応募が集まるかと思います。給与はどの求職者も大切にしているポイントなので、できる限り詳細に記載することをおすすめします。5-2. 業務内容具体的に業務内容について説明をすることで、求職者は自分がどのような業務を担当する可能性があるか、どのような働き方になるのかを理解しやすくなります。どんな業務を何人体制でどのくらい時間をかけて行うのか、自分一人で担当するのはどのくらいの範囲か、他職種との連携はどのようにとっているかなど、可能な限り具体的なものがあると求職者は入社後の働くイメージをつかみやすいです。例えば、看護師の場合、病棟からクリニックや、病棟から訪問看護など、新しい環境に挑戦する際に、スキル的な不安を感じることが多いです。そのため、業務内容や実際に何人体制で業務を行うのか、それらが分かれば求職者に安心感を与えることができ、「挑戦してみようかな」という気持ちを高めることができます。また、できれば業務の1日の流れやスケジュールを掲載できると良いでしょう。違う分野に挑戦する求職者は、新しい施設形態について詳しくないことが多いです。詳細な情報提供だけで差別化を図ることができます。5-3. 勤務時間・平均残業時間勤務時間や残業時間を掲載することで、求職者は自身のライフスタイルに合わせた働き方ができるかどうかの判断をしやすくなります。勤務時間に関しては、できるだけ詳細に記載をしましょう。例えば、通常の勤務時間に加えて、時短勤務が可能な場合は、具体的に何時から何時までの時短勤務が可能なのかを記載すると良いでしょう。また、残業時間についても多くの求職者が関心を寄せます。そのため、想定でもどれくらいの残業が見込まれるのか掲載することで求職者への信頼感につながります。正確な情報は、応募意欲を持ってもらうためだけでなく、ミスマッチ防止にもつながります。5-4. 休日・休暇休日・休暇に関しては、多ければ強いアピールポイントになります。医療・介護業界では年間休日が120日もあれば多い部類に入ります。多くの事業所は110日前後です。休日に関しても4週8休や年間110日という端的な表現だけでなく、年末年始休暇やリフレッシュ休暇などがある場合は、求人やサイトに記載しましょう。年間休日数に関しても想定でも掲載することをおすすめいたします。もちろん、市場調査で休日数が強みではないと分かった場合は全面に押し出さなくても良いですが、最低限の記載はしておいた方がミスマッチを防ぐことができます。休日・休暇は趣味やワークライフバランスを重視したい方にとっては、とても大切な要素になります。5-5. 福利厚生・手当福利厚生や手当の内容を掲載することで、求職者が入社後の待遇面についてイメージしやすくなります。福利厚生・手当といっても多種多様であり、求職者が何を求めているのかによっても変わってきます。例えば、通勤が不便な事業所であれば住宅手当、女性からの応募が多い職場であれば産休や育休などの制度が整備されていると、とても魅力的に映ります。また、退職金があればしっかりと記載しましょう。特に40代や50代のベテランからすると、最後の転職先は退職金制度がある所が良いと考える人が多いです。そのため、勤続何年で退職金の対象となるかといった詳細についても記載します。このように、人によって惹かれる福利厚生が違うため、もし多くて書ききれない場合はターゲット目線でどの福利厚生が嬉しいのか検討し、上位に記載すると良いです。5-6. 応募要件応募要件では、経験やスキル以外にも記載できることがあります。例えば、採用ターゲットが未経験でも問題なければ、「未経験OK」や「未経験でも活躍中」などのワードを入れるだけで、興味を惹くことができます。また、ライフステージの変化などで一度離職した人も採用ターゲットに入っていれば、「ブランク明け歓迎」や「サポート体制充実」などを入れても良いです。端的に、看護師臨床経験3年や介護施設での経験1年など書くよりかは、少し幅を持たせることで、求職者は応募しやすくなります。しっかりと経験を積んだ人に来てほしい場合でも、臨床経験3年以上と書くだけでなく、「臨床経験3年程度※3年に満たなくても入職実績あり」といった記載をすれば、応募要件を見て引き返してしまう人を減らすことができます。採用ターゲットや採用状況を鑑みて、応募要件を更新しましょう。5-7. 選考プロセス選考プロセスは、多くの事業所が事前に提示していない項目です。求職者からすれば、どれくらい選考が続くのか、どんなフローになるのか応募前は不安になります。特に、就業中の場合、予定を調整しなければならないため、可能であれば事前に知っておけると求職者は安心します。選考プロセスの一例として以下のような形で記載すると良いと思います。ポイントとしては、事前に伝えたいことを記載することで、無駄なやりとりを減らし工数の削減ができること、また面接見学、結果通知までの所要時間を記載することで選考の全体イメージを持ってもらいやすくすることです。①日程調整 ※ご応募いただいたアドレスに2営業日以内にご連絡いたします。※日程調整の際には複数日程いただけますと幸いです。↓②面接・見学の実施※平日9時~17時の間で、1時間半程度のお時間をいただき実施いたします。※お子様を連れての面接も可能です。↓③採用通知※面接後3日以内に採否のご連絡をいたします。採用ターゲットに子育て中の方が入っている場合は、面接・見学にお子様連れでも問題ない旨を記載すると、応募へのハードルが下がり、応募率UPに繋げることができます。5-8. アクセス事業所のアクセス方法や場所について掲載することで、求職者が入社後の通勤や生活面についてイメージしやすくなります。これもできるだけ具体的に掲載することが重要です。最寄り駅はどこなのか、具体的なアクセス方法、バスの時間、想定通勤時間、事業所入り口など、求職者にイメージしてもらいやすい掲載の仕方が重要になってきます。もし分かりにくい場所や、Googleマップに上手く表示されない場合は、目印になるものの写真を掲載しておくなど辿り着けない、イメージができないという状況になるのは避けましょう。事業所の場所については、動かせるものではないので、正確に、分かりやすく案内を記載すると良いでしょう。6. 職場環境に関する情報ここでは職場環境に関する情報について、各項目を解説いたします。職場環境に関する情報とは、求人票に載せるというより採用サイトなどに掲載するコンテンツとなります。職場環境に関する情報は、労働条件と違い、競合との差別化が図りやすく、また事業所ごとの特色がでる情報でもあります。求職者が求める情報を適切に発信することで、応募意欲を持ってもらうことに繋がります。発信した方が良い情報は多岐に渡りますが、優先順位を付け、一つずつ丁寧に作成していくことをおすすめいたします。適当な情報を発信してしまうと、悪い印象を与えてしまう可能性があるため、情報の質を意識してコンテンツを作成すると良いと思います。6-1. キャリアパスキャリアパスの具体例を掲載することで、求職者は自分の将来のキャリアをイメージしやすくなります。入職してからがスタートであり、今後の展望を考えている求職者はとても多いです。自分のキャリアをイメージできることは求職者にとって大きくプラスに作用するはずです。以下、九州大学看護部のキャリアパス例になります。看護師をレベル別に分け、具体的な年数などが掲載されています。他にも多くの事業所が評価制度などを掲載しています。入職前にキャリアパスを伝えることにより、キャリアへの漠然とした不安の解消や、入職後の活躍のイメージを持ってもらいやすくなります。※参考記事九州大学病院看護部|看護部キャリアパス6-2. 教育体制教育体制について説明することで、求職者は新しい環境でも頑張れるのか、自分が成長できる環境があるのか、判断しやすくなります。キャリアステップの際にも述べましたが、入職してからがスタートであり、今後の展望について不安や期待を抱えている求職者はとても多いです。また、特に新卒の方や初めて医療・介護業界で仕事をする方にとっては教育制度は必要不可欠といっても過言ではないため大きなアピールポイントになります。自分で勉強に励むことも重要ですが、職場で仲間とともに切磋琢磨しながら学ぶこともとても重要なことです。もし、キャリア思考の強い方を採用したいということであれば、資格取得支援や外部研修についても触れるのも良いです。以下、東京医科大学病院看護部のHPになります。詳細な1年目の教育プログラムや研修レポートなどがまとめてあります。※参考記事教育制度 | 東京医科大学病院 看護部もちろんすべての事業所が大規模病院と同じ教育体制があるわけではないですが、それぞれの事業所で実施しているOJTやOffJTを記載することはできるかと思います。最低でも独り立ちまでのステップを記載すると良いでしょう。もし、教育体制や資格取得支援に強みがあれば、積極的にアピールしましょう。6-3. 働き方・スケジュール事業所の働き方やスケジュールについて、可能な限り具体的に記載することで、応募者は入社後の業務内容や生活スタイルをイメージしやすくなります。お子さんが幼い家庭を持つ求職者の場合、家庭との両立が可能かどうかは、とても重要な要素になってきます。そういったことも考慮すると、一日のタイムスケジュールや年間のスケジュール、シフトの時間などの例を掲載することで、求職者が自分自身がこの職場で働いていけるかを検討することができるようになるため、求職者の条件に合致すれば、応募意欲を持ってもらいやすくなります。多くの求人では勤務時間について要相談や応相談となっていますが、不透明な状況よりも例として時短勤務のスケジュールを記載するだけで、求職者から見る印象は違ってきます。経営者・管理者や従業員の顔写真を掲載することで、一緒に働く可能性のある人がどのような人か理解しやすくなります。求職者にとって、今後の上司・先輩になる可能性がある人の顔が分かっていることは、不安の軽減につながります。また、顔が分かっていた方が、採用メッセージも響きやすく、共感してもらいやすくなります。特に、経営者や直属の上司になりうる管理者などは顔写真やプロフィールを掲載できると良いでしょう。顔が見える相手の方が信頼感を持ってもらいやすいため、顔出しが問題なければ積極的に写真や動画で発信しても良いと思います。職員の入れ替わりで更新が面倒な場合は、代表だけでも掲載しておくと良いです。6-4. 経営者・管理者・従業員の顔写真やメッセージ事業所で働く人の顔写真やメッセージは、求職者が職場を選ぶ際にとても参考になります。株式会社ナイチンゲールが求職者にとったアンケートでは、職場選びの際に、条件面以外で働く人の声を参考にしているという意見がとても多くあがりました。出典:株式会社ナイチンゲール 求人情報アンケート 2020年3月働く人の声というのは、経営者や管理者、従業員が仕事についてどう感じているか、どのような雰囲気で働いているかなどを伝える情報です。事業所で働く人が話す事業所の魅力が求職者に伝わることで、入社後のイメージが持てるようになり、応募意欲を持ってもらいやすくなります。経営者・管理者からのメッセージは、事業所の想いや価値観を伝えることができます。経営者・管理者がどのような想いで事業を行っているかを伝えることで、求職者に共感してもらいやすくなります。また、理念の項目でも述べますが、理念や考え方はそこで働く人や利用する人だけでなく、応募者にとってもとても重要なものです。経営層やマネジメント層がどのような考えで、日々の業務に取り組んでいるのかを共有することで、事業所一丸となって動けるだけでなく、共感を生み応募に繋がるケースもたくさんあります。求職者にとって、将来上司になる可能性が高い人物の価値観や想いが分からないより、明確になっている方が共感し安心して付いていくことができます。働く人の声をコンテンツとして作るためには、インタビューやアンケートを実施し、回答を集め、記事や写真にする必要があります。また、例えば従業員の声を掲載・発信する際には、以下の項目も合わせて掲載すると、求職者が従業員の理解を深め、より参考になる情報になります。テーマ内容①プロフィール入社年数、これまでの経歴、職種、配属部署など。②入社の経緯なぜこの事業所形態、この会社、この職種を選んだのか。③事業所の雰囲気入職してどういった印象を持ったか。入職前とのギャップはあるか。魅力に感じたところはどこか。④仕事内容どんな仕事に従事しているか。やりがいや大変なこと・大切なことは何か。1日のスケジュールイメージは。⑤成功談・失敗談関わった仕事の中でどんな失敗と成功があったか、具体的に。今までの仕事の中で印象に残っているエピソードはないか。⑥今後のキャリアこれからの目標は何か。具体的にどうキャリアアップしていきたいか。例:スキルアップ、資格取得、出世等。⑦休日の過ごし方休みの日は何をしているか。社員間の交流はあるか。ワークライフバランスをどう保っているか。⑧求職者へのメッセージ自分の経験から、求職者に伝えたいこと。事業所のアピールポイント。どんな人に来てほしいか。「従業員の声」は実際に働いている従業員=求職者から見てこれから一緒に働く可能性のある人が、どのような人か、その人たちがどう感じているかを詳しく知ることができるため、求職者は実際に働く職場や自分が働くイメージを持ちやすくなります。6-5. 従業員の仕事風景や事業所の写真仕事風景や事業所の写真、動画を発信・掲載することで、求職者は、どのような環境で働くのかをイメージしやすくなります。視覚的情報を伝え、より具体的な職場イメージを持ってもらうことで、新しい職場への不安が軽減や魅力付けが期待できます。逆に、事業所の外観や内部、働いている人が分からない事業所に安心感を持つでしょうか。外から内観が見えるお店の方が、安心して入れるのと同じように、採用サイトやホームページ、SNSなどで事業所の”中身”が分かるほうが、求職者が安心し応募のハードルが下がります。事業所についてオープンにして、積極的に魅力を発信しましょう。6-6. 患者・利用者・入居者の声患者・利用者・入居者の声を掲載することで、事業所に対する信頼を高めることができます。第三者からの声は、事業所に対する印象を左右する重要な要素です。特にポジティブな声を多く掲載することで、事業所全体はもちろん既存従業員に対しても信頼感が生まれ、良いイメージを持ってもらうことが期待できます。医療・介護業界では、患者や利用者に加えて、連携機関の方々の声も掲載するとさらなる効果が期待できます。実際に事業所を利用された方の声というのは信頼性が高く、魅力に感じてもらいやすい傾向があります。口コミは色々な場面で信頼性をアピールすることができるため、採用でも活用しましょう。6-7. 経営理念・事業理念経営理念・事業理念は、事業所が目指す方向性や理念を示すものです。経営者・管理者からのメッセージとして、従業員や求職者に向けて発信することで、事業所の想いや価値観を共有することができます。医療・介護業界に関わらず、理念や考え方はそこで働く人や利用する人にとって、とても重要なものであるため採用に関わらずとも積極的に発信していくことが重要になってきます。それぞれの理念は、事業所の方向性や働く上で大切にしていかなければならないことになるので、共感をして入職するか否かは、入職後の満足度にも関わります。想いに共感してくれる仲間を増やすためにも、経営理念や事業理念は明確にし、サイトやSNSで発信することをおすすめいたします。6-8. 企業文化・取り組み紹介企業文化・取り組み紹介は、事業所がどのような文化を持っているかや、どのような取り組みをしているかを示すものです。よく話を聞くのが、病院で残業時間を減らす取り組みとして、日勤帯の職員と夜勤帯の職員のユニフォームを分けることで、日勤帯の終了時間が近づいた際には、緊急の仕事などを夜勤帯職員に割り当てられるようにする、といった取り組みです。このように、従業員が働きやすい環境を整備することで、求職者にとって魅力的な事業所として認知されやすくなります。また、採用ターゲットに20代~40代の看護師や介護士が入っていれば、子育て理解をアピールすることはとても重要です。特に、看護師は女性の割合が高く、令和2年の厚生労働省のデータでも女性看護師が9割を超えています。介護士も同様に7割以上が女性のため、子育て理解についての情報を伝えることで、応募意欲を高めることができます。他の業界でも、ライフステージの変化で女性が離職するケースが多いため、柔軟な勤務体制やサポート体制を発信することで、「子育てと仕事を両立できる」というイメージを求職者にもってもらうことができます。子育て理解についての発信は、育休・産休の取得実績や子育て中の職員数の掲載、子育て中の職員のインタビュー記事などがおすすめです。看護師の場合、子育て理解があるかで応募するか決める、という方を何人も見てきました。子育てとの両立はとても大変で、総合病院や大学病院では夜勤もあり難しいという方も増えているので、採用ターゲットが20代~40代の女性という事業所は、特に注力してアピールしましょう。もし、現在注力している取り組みや、企業文化が現れたエピソードがあれば、記事やSNSでのコンテンツとして発信すると良いでしょう。以下、以前調査したユニークな取り組みをしている病院に関する記事になります。こちらも参考になれば幸いです。※参考記事自社の魅力アップの参考に!ユニークな取り組みしてる病院調べてみた!|WELLNOVA@医療・介護業界/採用支援6-9. 社内行事・イベントの紹介社内行事やイベントの紹介は、事業所の雰囲気や従業員同士の関係性を伝える手段となります。文章だけで「イベント:社員旅行」と記載するだけではなく、頻度や開催時期、実際の写真などを伝えると、より伝わりやすくなります。特に訴求ポイントとして、事業所の良好な関係性を押し出す場合は、行事やイベントについて積極的に発信しましょう。そうすることで、人間関係が良い職場を探す求職者は、事業所に魅力を感じ、応募意欲が高まります。6-10. 事業所のデータ事業所のデータというのは、事業所の”中身”を定量的に表したものです。例としては、有給消化率や離職率、従業員の男女比、年代などが挙げられます。これらを掲載することで、現在の事業所の雰囲気や定着率といったことを求職者が把握しやすくなるだけでなく、数値で示すことで情報の信頼性を担保できます。例えば、離職率は求職者にとって職場選びの重要な判断材料になります。離職率が低い事業所の場合は大きなアピールポイントになるため、ぜひ掲載することをおススメします。特に、訴求ポイントで事業所内の人間関係の良さなどを押している場合は、離職率などのデータがあれば、イメージだけでなく事実として求職者にアピールできます。逆に、離職率が高い場合はあえて掲載しないほうが良い場合もあります。これは例外ですが、まずは離職率の低下に努め、改善していくことが優先事項になります。改善した暁には、その取り組みを掲載することでアピールポイントになるかもしれません。※参考記事【専門家監修】看護師の離職率動向、その原因と対策7. まとめ今回は、応募率をアップさせるために必要な応募意欲を持ってもらう方法について、解説いたしました。なかなかすべてを網羅することは難しいかもしれませんが、応募前に何を情報として知りたいのか、どんな情報が役に立つのか、どんなことが企業のアピールポイントになるのか、想像力を働かせ、求職者の立場になって考えることが重要です。また、求職者に実際に働くイメージを持ってもらえるような具体性を含ませた内容にするとより効果的でしょう。