看護師の離職は、医療・介護業界の事業所にとって大きな問題となっております。採用に成功しても、ミスマッチから早期離職になってしまうことは深刻な問題です。
では、どのようにすれば離職率を下げることができるのでしょうか?ここでは、離職率の実態や看護師が離職する主な原因を解説し、その解決策と具体的なステップをご紹介します。

看護師の離職率は、職場の環境や労働条件だけでなく、地域によっても大きく異なります。ここでは、看護協会の調査資料を参考に、全国的な離職率の動向と都道府県別の離職率ランキングについて解説します。
看護師の年間離職率は全体的には11.8%(公益社団法人 日本看護協会‐2023 年 病院看護実態調査)と日本全体の年間離職率15.0%(厚生労働省‐令和4年 雇用動向調査結果の概要「入職と離職の推移」)を下回っています。

しかし、地域別に見ると平均を上回っている都道府県もあり、特に地方と都市部では差が出ている状況です。都市部では様々な求人が出ており、特に人口の多い首都圏では人口10万人あたりの看護師数は少ないため、引く手数多な状態となっております。
そのため、他の条件の良い求人も見つかりやすいことから、離職率が高まっているという予想ができます。
次の章では都道府県別の離職率をご紹介いたします。
グラフから見ると、離職率が高いのは大都市に集中していることがわかります。反対に、地方は東北地方を中心に離職率が低いことが示されています。


※参考資料 公共社団法人 日本看護協会2022度年度離職率(2023年調査)のデータ

「どんな事業所だと離職率が高いのか」という疑問は、採用する側もされる側も関心が高いテーマです。ここでは、日本看護協会の調査報告書を参考に、離職率の高い事業所の特徴を5つご紹介します。
事業所内でのコミュニケーションや協力が不十分で、従業員間のストレスや対立が多い環境では離職につながります。チームワークが欠如している職場は特に注意が必要です。
従業員が過度の負担を感じるほど患者数が多く、サポート体制が充実していない事業所では、離職する可能性が高いです。適切なスタッフ配置とサポートが求められます。
昇進や研修の機会が少ない事業所では、従業員がモチベーションを維持することが困難です。その結果、離職率が上昇してしまいます。適切な評価制度や幅広いキャリアパスの提供が重要です。
給与が低く、福利厚生が不十分な事業所では、従業員が他の職場に移る傾向が高いです。逆に、驚くほど高い給与を提示している職場も、長期的な勤務には繋がらない場合があります。
長時間労働や休暇取得が難しい環境で働く従業員は、ストレスや疲労が蓄積しやすく、結果として離職率が上昇します。適切な労働時間管理と休暇制度が必要です。
このような条件下では、看護師の離職率が上昇する傾向があります。ただし、働きやすさの基準は人それぞれ異なります。求職者が重視している条件を明確にし、適切に対応することが重要です。
看護師の離職率の背景は様々な要因があります。今回は、日本労働組合が実施した「看護師の退職動機に関するアンケート」調査結果によると、主な要因は以下の4つが顕著でした。
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給与が低いと感じる。
労働条件や福利厚生が不十分。
残業や休日勤務が多くて負担が大きい。
患者の苦痛や死を目の当たりにすることのストレス。
人間関係や職場環境のストレス。
長時間労働や過重な業務量による疲労感。
上司や同僚とのコミュニケーションが難しい。
チームワークやサポート体制の不足。
パワハラやいじめなどの職場トラブル。
仕事とプライベートの調和が難しい。
残業やシフト勤務による生活リズムの乱れ。
休暇取得が難しい状況。
給与や福利厚生を変える場合、就業規則や賃金規定を変える必要性があり、すぐに追加・修正をすることは難しいかと思われます。しかし、精神的なサポート体制の強化、職場コミュニケーションの改善は比較的取り組みやすく早めに着手、改善を行うことができます。
そのため、まずは社内の人間関係やコミュニケーション部分の改善を図りつつ、並行して福利厚生や給与の改定に向けた検討を進めるのが良いと思われます。

看護師の離職率を下げるためには、以下の4つの具体的な解決策が考えられます。
適切なスタッフ配置、労働時間の管理、適切な給与水準の確保、職場のストレスや負担を軽減する施策の実施など、働きやすい環境を整備することが重要です。具体的には、以下のような取り組みが必要です。
残業時間の短縮やシフトの見直し
適正な人員配置の確保
メンタルヘルスケアの強化
職場の風通しを良くするためのコミュニケーション施策
柔軟な勤務体系の導入、有給休暇の取得促進、ストレス管理のためのカウンセリングや支援プログラムの提供など、看護師が仕事とプライベートを両立しやすい環境や支援を提供することが必要です。具体的には、以下のような取り組みが考えられます。
フレックスタイム制度の導入
有給休暇の積極的な取得推進
ストレスケアプログラムの充実
キャリアアップやスキルアップの機会を提供し、看護師が自己成長やキャリア形成を目指せるような環境を整備することで、モチベーションの向上や離職を防ぐことができます。具体的な取り組みとしては、以下が挙げられます。
幅広いキャリアパスの提示
昇進や昇格の機会の透明性の確保
継続的な教育や資格取得支援
中途で入職した新人看護師の教育プログラムやキャリア段階ごとの研修制度の充実、専門スキルの習得や継続的な学びの機会を提供することで、看護師のスキル向上や仕事への満足度を高めることができます。具体的には、以下のような取り組みが効果的です。
新人看護師向けの充実したオリエンテーションプログラム
継続的な研修や専門資格取得支援
メンター制度の導入
これらの解決策を組み合わせて実施することで、看護師の離職率を効果的に抑制することが可能です。また、組織や業界全体での取り組みや政府の支援も併せて進めることが重要です。看護師が安心して働ける環境を整えることで、医療の質の向上にも繋がります。

アンケートやデータ収集:社内アンケートを実施して従業員の満足度、不満点、要望などを収集。離職率や退職理由のデータを分析。定性的なデータも含め、従業員の意見を広く収集。
アンケートやデータ分析の結果を基に、主要な課題や問題点を明確にする。
離職の主な要因を特定(例: コミュニケーション不足、職場環境の問題、キャリア開発の不足など)
離職率を具体的にいつまでにどれだけ減少させたいかを明確にする。
目標を達成するためのステップや達成度を測るためのKPIを設定する。
各課題に対して具体的な行動計画を立案。以下施策例
‐コミュニケーションの改善: 定期的なミーティング、フィードバックセッションの導入
‐職場環境の改善: オフィスの改善、リラックススペースの設置
‐キャリア開発の支援: 研修プログラムの導入、メンターシップの実施
‐福利厚生の充実: 給与見直し、柔軟な勤務時間の導入
各行動計画を実行するために必要なリソース(人材、予算、時間)を明確にし、割り当てる。
必要に応じて離職防止のためのチームを編成し、責任者を指定。
立案した行動計画を実行に移す。
定期的に進捗を確認し、必要に応じて調整を行う。
実行した行動計画の効果を定期的に評価。
設定した基準や目標を基に、行動計画の成果を測定。
アンケートやフィードバックを通じて従業員の反応を確認。
評価結果を基に、さらに改善が必要な点を特定し、行動計画を最適化。
新たな課題が発生した場合は、再度対策を講じる。
今回は、看護師の離職率について深掘りし、その問題点と解決策を解説しました。
採用後もしっかりと職場に適した教育プログラムや支援体制を整え、スタッフの定着を図ることが大切です。また、採用後のフォローだけでなく、採用前に如何にミスマッチを少なくできるかという視点もとても重要な要素となります。事業所にマッチする人材はどのような人で、どのように発信をすれば欲しい人材から応募が来るのかを改めて見直して、採用活動の強化を図ることで、自ずと離職率低下に繋げることができます。
しかし、採用以外にも目の前の患者様やご利用者様へのケアなどで忙しく、採用に手が回らない事業所が多いのが現状です。また、採用のノウハウが無ければ、採用力の強化が難しく、中々手が付けられないというお悩みを抱えているとよくご相談をいただきます。
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